ケアンズの離婚制度を正しく知る!――“ノーフォルト”原則とオンライン申請、そして日本との違い

Research

前提:ケアンズでも全国一律の「連邦法」

オーストラリアの離婚は連邦循環家族裁判所(FCFCOA)が所管し、手続・要件は全国共通です。ケアンズにはFCFCOAのケアンズ・レジストリがあり、対面での問い合わせも可能です(Commonwealth Government Centre, 94-104 Grafton St, Level 3)。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所

オーストラリアの離婚の“骨格”

唯一の離婚事由は「婚姻関係の回復見込みがない(irretrievable breakdown)」。その立証は少なくとも12か月の別居で行います。別居中も同居を続けた場合(いわゆる“同居別居(separation under one roof)”)でも、実態として別々の生活であることを宣誓書等で説明すれば要件を満たし得ます。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所+1

※併存争点(財産分与や親権など)は別訴(Consent Orders/Parenting Orders等)で扱われ、離婚許可の可否は有責性(不貞等)では判断されないのが大原則です。

聴聞(ヒアリング)への出席要否

従来は「単独申請で18歳未満の子がいる場合は出席要」が原則でしたが、2025年6月の法改正で、単独か共同か、子の有無にかかわらず不出席審理が可能となる方向が示され、運用が緩和されました。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所+1Attorney-General’s Department
現在の実務でも、多くの離婚審理は電話(リモート)で行われ、必要と判断された場合のみ参加を求められます。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所

親子・面会交流に関わる前置手続(日本にない大きな違い)

養育(parenting)に関する裁判所命令を求める前には、原則として家族紛争解決(Family Dispute Resolution, FDR)を試み、家族法60I証明書(s.60I certificate)を取得することが要求されます(免除事由あり)。これは親子案件の前置的メディエーションに当たり、離婚それ自体よりも子の最善を重視する豪州制度の象徴です。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所Attorney-General’s Department

ケアンズでの実務上の窓口

FCFCOA ケアンズ・レジストリ(Grafton St.)—申請や聴聞の事務連絡。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所

リーガル・エイド・クイーンズランド(ケアンズ事務所)—離婚・養育・DV対応の法的助言や支援。legalaid.qld.gov.a

日本の離婚制度との比較(構造の違い)

論点ケアンズ(豪州連邦法)日本法
基本原則ノーフォルト(有責性は原則不要)/12か月別居で破綻立証三経路:協議・調停・裁判。裁判離婚は民法770条の法定離婚事由が必要
主たる手続FCFCOAへ共同/単独でオンライン申請→送達→審理→1か月+1日で確定協議離婚は役所へ届出(証人2人)。不成立なら家庭裁判所の調停→(審判)→訴訟
面会・親子Parenting OrdersはFDR前置(60I証明書が原則必須)面会・親権は調停・審判・訴訟で個別判断(全国一律の前置メディエーション制度はなし)
聴聞出席原則不要化の方向・多くは電話審理で完結協議離婚は出席不要だが、調停・訴訟は出頭が基本
費用感申請料$1,125(減免$375)協議離婚は手数料不要(届出)。審判・訴訟は収入印紙等が必要
有責概念不貞等は離婚許否と直接無関係(他の紛争では影響し得る)裁判離婚は不貞・悪意の遺棄・生死不明・(改正動向)精神病・その他重大事由などが根拠(770条)

出典:豪州側=FCFCOA・AGDの公式資料、日本側=法務省・裁判所等。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所+2オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所+2 法務省裁判所e-Gov 法令検索

日本の協議離婚は世界的に見ても行政届出で成立する特殊な制度で、成年証人2名の署名が必要です。法務省
裁判離婚に進む場合、日本では民法770条が離婚原因を限定列挙しており、豪州のノーフォルトと対照的です。e-Gov 法令検索

手続フロー(豪州/ケアンズ)

  1. 適格性確認(国籍・居住要件等)
  2. 12か月別居の立証準備(同居別居なら宣誓書等で実態を説明)オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所
  3. eFileで申請(単独/共同)。単独は配偶者へ送達オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所legalaid.nsw.gov.au
  4. 審理(多くは電話)—必要に応じて出席。近時は不出席審理の拡大へ。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所Attorney-General’s Department
  5. 離婚許可→1か月+1日で確定。証明書をポータルで取得。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所

実務TIP:財産・養育の合意(Consent Orders/Parenting Plan)は離婚と別ライン。離婚確定前後の申立期限等に留意して、早めに法的助言を得ると安全です(リーガルエイドやコミュニティ法務が無償・低額相談を提供)。legalaid.qld.gov.au

文化・価値観の差

豪州では「良い離婚(Good Divorce)」「共同養育(co-parenting)」の理念が広く共有され、制度も親の対立を減らす設計(FDRの前置・電話審理・オンライン化)へ進化しています。一方、日本は協議離婚の利便性裁判離婚の法定事由という二層構造が強く、合意形成が破綻した場合の司法的関与が相対的に重い構図です。制度の哲学が異なるため、同じ「離婚」でも準備書類・前置手続・時間軸が大きく変わります。

まとめ

ケアンズでの具体的な進め方や書式の確認、費用減免の適用可否は、FCFCOAケアンズやリーガル・エイドQLD(ケアンズ)にまず相談すると実務がスムーズです。オーストラリア連邦サーキット・ファミリー裁判所legalaid.qld.gov.au

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参考・出典


※本記事は2025年9月時点の公的情報に基づきます。個別事情(国籍・在留資格・未成年子の有無等)で必要書式や手順が変わるため、最新の公式ページをご確認ください。

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