ケアンズは観光・ホスピタリティ分野を中心に発展し、人口約17万人の地方都市ながら多様な産業が集積しています。この記事では、グローバル経済の変動、インフラ投資、自然災害の影響を背景に、2020年代に入ってのケアンズ経済をご紹介します。
地域総生産(GRP)は約122億AUD、州全体の2.3%を占める
- ケアンズ地域のGRPは約122億AUD(約1兆2,200億円)で、クイーンズランド州の総生産の約2.35%に相当します。
- 2020年からの総額成長は約16.6億AUDと堅実に伸びています。
この数字には、観光収入のみならず、医療、教育、航空、建設、製造、地域農産業などが反映されています。
参考: 日本でケアンズと同規模の地域(目安)
ケアンズと同様に、観光と地域サービスに支えられた構造を持つ都市が該当しやすいです。
一部の県庁所在地クラスの地方都市とGRP規模が近いことから、ケアンズは人口(人口約15万人)に対して経済規模が大きめです。
| 日本の都市 | 推定GRP(市内総生産) | 人口(2024年推計) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 富山市(富山県) | 約9,500億円 | 約41万人 | 北陸地方の中核都市。製造業と医療が強い |
| 長野市(長野県) | 約1兆円 | 約36万人 | 観光地が多く、地域経済が安定 |
| 鹿児島市(鹿児島県) | 約1.1兆円 | 約59万人 | 南九州最大の都市。観光・交通の拠点 |
| 松山市(愛媛県) | 約1兆円 | 約50万人 | 四国の経済・文化の中心地。道後温泉で有名 |
観光産業は力強く回復中も、苦戦続く海外依存
観光はケアンズ経済の根幹を支えるものですが、COVID-19や自然災害の影響は深刻です。
- 2022/23年度の観光支出は約6億4000万AUD、加えて間接効果も含めると+11.7億AUDに達しましたcairns.qld.gov.au+1cairns.qld.gov.au+1。
- 2023/24年度には北クイーンズランド全体で観光支出が4.8億→4.62億AUDにやや減少しており、依然安心できない状況が続いています。
- 2024年4月までの半年間で、サイクロン直撃による被害があったものの、短期間での回復が報告されています。
航空アクセスとMICE(会議・イベント)誘致で経済押上げ
ケアンズ国際空港は2019年から2024年にかけて、年間乗降客数が約350万人から約470万人まで回復。
2023/24年度には76件のMICEイベント(ビジネス関係のイベント)により宿泊支出は5160万AUD、152のリード(案件)により合計1億1320万AUDの経済効果が見込まれていますtra.gov.au+5tourism.tropicalnorthqueensland.org.au+5economy.id.com.au+5。
国際航空では中国東方航空やシンガポール航空などの直行便が増加し、アジア・欧米市場の回復が加速しています。
地域固有の課題と政府の対応
自然災害とサプライチェーンの混乱
- 2025年の豪州北部洪水の影響で、沿岸地域の物流が停止し、バナナなど地場産品が供給不足に。
- 一方で、2023年サイクロンJasper後も回復が早く、地方経済は底堅さを見せましたtourism.tropicalnorthqueensland.org.au。
インフラ投資への注力
- ケアンズ・コンベンションセンターの環境配慮型増設(総額約1.76億AUD)など、観光・MICE関連施設が強化されつつありますen.wikipedia.org。
観光戦略の推進
- 2032年ブリスベン五輪に向け、ロードトリップ観光路線「Pacific Coast Way」の整備やドライブ市場の増強により、地域経済を底上げする動きがありますcouriermail.com.au。
労働市場と産業構造の変化
観光業では技能不足や人材不足が目立ち、カスタマーサービスやホスピタリティ分野で求人が多く、賃金も上昇傾向にあります。
医療・教育・ケア産業も成長しており、地域全体で人材需要が継続しています。
国内旅行回復が支える経済
2024年にはオーストラリア全体で国内宿泊旅行件数が2023年比+2.1%、国際旅行者数も+15%増となりましたtra.gov.au。
ドメスティック旅行が経済回復の原動力となる中、ケアンズへの国内旅行者増加が支援材料になっています。
今後の見通しとリスク要素
成長見通し
- 2032年に向けて五輪波及効果: 国内外の観光増が期待され、関連インフラ整備が進行中。
- MICE市場の強化: ビジネスイベントの継続的誘致が経済の多様化を促します。
向き合う課題
- 自然災害への備えコスト: 洪水・サイクロン・気候変動が経済の継続回復に釘を刺します。
- 人材不足とコスト高: 賃金や電力・保険費用の高騰が地元ビジネスの収益圧迫になっています。
- 海外旅行者の回復の遅れ: 中国など一部路線の復活が鍵で、完全復調には至っていません。
まとめ:観光復活が鍵、地域強化の兆し
ケアンズは多様な産業に支えられた地方都市ですが、その成長エンジンはやはり観光業とそれに関連するMICE・航空インフラにあります。自然災害による短期的な打撃はあるものの、インフラ整備・国内旅行需要の堅調・MICE成長により、地域経済は着実に再生軌道に乗り始めています。
しかし、気候変動リスクや人材不足・高コストなどの構造的課題も見逃せません。これらに対応する政策と持続的な投資が、ケアンズ経済の今後を左右する鍵となるでしょう。
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